東京アートフェアーが終わったばかり。最近はアートビジネスが大流行しているようで世界中で毎週末にどこかの町でアートフェアーが開かれる。私たちギャラリーにとって世界に我々の推薦するアーチストを売り出したい気持ちは山々だが費用がとんでもなく高いのがハードルになっている。
世界の主要都市で開かれるフェアーでは一番小さいブースでも70万から80万円、その上スポットライト一つでも持ち込みが効かずフェアーにレンタルしないといけない、その金額がまた高い。ざっと合計で100万円はかかる。海外のフェアーだとそれに加え、輸送費、税関代、出張費など入れると200万円。格式の高いフェアーはのみならず出展者を書類選択する。どのアーチストを扱うのか、何年前から店を出しているのかなど。質問に答えお伺いを立てないといけない。
もちろんクオリティーを高くして優良コレクターを呼び込みたい、というフェアーの最も理解できるが、知名度がまだないギャラリーとアーチストにとってアートフェアーに打って出るのは大変ハードルの高いことなのだ。しかし打って出ないと新しいファンがつかない。というところでどこも悩んでいるのが現状である。
ギャラリーのシャアリングとかスワッピングとか
ロンドンの若いながら攻めるギャラリー、「カルロスーイシカワ」のヴァネッサ・カルロスさんは「コンド」と名打って多くの人が漠然と夢に描ていたことを実現してくれた。の1月半ばから5週間ほど、ロンドン市内の15のギャラリーが世界中から集まった36のギャラリーに店をなんと無料で明け渡した。東京、上海、グアテマラ、オスロ、サンパウロ、ベルリン、ニューヨーク、などなどから集まった36件の若いギャラリーたちはアートフェアーの出展フィーに悩むことなくロンドン市内で店がはれたのだ。しかも5週間の間も無料で。
15件対36件では数が合わない、と私は最初に思ったが、まずロンドンに出したい人が多かったのだろう、そして全く違う国のアーチストを1つの場で共演させることにも意義があったのかもしれない。しれない。などどいい加減なことを言っているのは実はこの期間私は病気で寝込んでしまい全く外に出られなかったのだ。残念なことに・・・なのでリポート出来ていない。
エマリン
それでもめげずにコンドの話に戻ると、もちろん、ただで受け入れたところは次回はただで先方の街でコンドが開かれる時には参加できる。ヴァネッサ曰く、「この計画で私を始め誰も儲けてはいません、でもお客さんもネットワークもシェアーして広げていくので皆が豊かになります。」そして一番得をしているのが客である。ロンドン市内で無料でこれらの若いアートが見られるのだから。
このように金銭ではない見返りを求めて行動する人たちが着実に増えている。
カルロス・イシカワの出展したオスカー・ミュリロの作品、観客が混じって座っていると作品がどんどん生き生きして変わってくるから面白い。手前には他の作家のオブジェも。
ちょっとしたアートフェアー状態。
若い人の若い作品が、自由解放区に解き放たれている感じ。
これは昨年、第一回目のコンドの時のようです。1月なのに元気ですね
エスタブリッシュではない、何者になるかわからないカオスの力を集めるだけで良いと思う、だってそういうのないでしょ日本にも東京にも。
取り澄ましたギャラリーにはないものを
アートはいくつもの相対する価値観や金銭と貧困にまみれていて多くの人に敬遠されてしまう。アーチスト自身も若いうちはどうするべきがたっぷり悩むくらいだから一般の人が嫌になるのは当たり前である。そしてギャラリーは冷酷でツンとしていて高慢な印象を与える。(本当に高慢な店もある)でも4年前から始めた私を含め私の周りのギャラリーは皆アートの与えてくれる幸せを多くの人に味わって欲しい。という、どうしようもないお人好しのお節介からズブズブとこの道にはまってしまう人ばかりである。著名作家のリトグラフィーを扱うところはいざ知らず、特に無名アーチストを扱うところは寛大な心を持って世界中の人に感動を広めたいと願っているのである。そんな連中が場所を提供しあってサークルがどんどん広がっていくときっと素晴らしいことが起きる。その中から未来のバスキアが現れていつかシャンペン&キャビアの世界に旅立っていくかもしれない、それはそれでめでたいではないか。大事なことは我々は「そこにいたのだ。まさに誕生の瞬間に立ち会ったのだ」ということ。
アートネットというウエブマガジンに詳しく書いてあるので英語が面倒でない方はどうぞ読んでいただきたい。
Condo,