経済学では(たぶん)予測しなかった私たちの行動
先週末の3日間、ラ・ケヤキでハンドメイドマルシェ第3回目を開催した。「若い手作り作家の登竜門になってほしい… 続きを読む
第4回を迎えた連載トークイベント『関係性の科学vol.4 民の技術』。
今回も美術家の小阪淳さんがナビゲターをつとめ、対談形式で進行して行くスタイルです。大好評の懇親会の時間もたっぷりご用意しました。ゲストと観客がいっしょになって議論できる貴重な場に、みんな熱心に意見交換をしていました。
第4回はゲストに岩政隆一さん(GKテック代表取締役社長)をお招きしての開催です。
メインの対談は、小阪淳さんデザインのフライヤーに使われていた『「因果」を抜きにして科学技術は語れない。』というテキストにあった言葉を主題とし、岩政さんの人生の中での体験談の話を聞きながら進行していきました。肌で感じ脳の中で追体験して行くような刺激的な内容でした。
今回は、岩政さんのGKテックでの実践、科学館でのコンテンツ製作やメディアアートのお仕事から、川喜田二郎さんが開校された「移動大学」で体験した熊本でのフィールドワークについてのお話などを中心に対談は進んで行きました。
コンテンツ製作の話では、より身近に科学技術を体験できるような仕掛けづくりや、子供も大人も楽しんで参加できるような催しづくりの話をされていました。GKテックさんは科学未来館などでコンテンツ制作をされています。きっと皆さんもご覧になったことがあると思いますが、体験する事で見慣れた技術の仕組みを理解する、科学や技術が身近なものであり得ることを示すようなコンテンツを作られているのが印象的でした。
また、移動大学というのは1969年に川喜田二郎さんという方が70年代安保の学園紛争の時に開校されたものです。岩政さんはこの「移動大学」に参加されていて、熊本のとある田舎でテントをはり周辺住民に取材をしフィールドワークをしていたそうです。これは、教室を飛び出して社会に学ぼうと言う野外科学の取り組み。その時、自分たちで一から鉄を作る事に取り組んだという話をしてくれました。自分たちで砂鉄を集め、炉を作り製鉄を成し遂げたそうです。科学技術は、かつて民の手に、暮らしの中にあったことを追体験したわけです。
岩政さんはその時が今までの人生で一番楽しかったと嬉しそうに話していました。
僕たちが普段当たり前に使っているものは誰かの手によって作られたもので、僕たちはそれがどのようにして成り立っていているのかも知らずに使っている事に気付かされました。また、体系化され与えられた仕事やもの、あるいは制度に囲まれ、自分で考えたりものを作っていく力を失っていることに危機感を感じもしました。自分たちはいったい何に身を委ねているのか・・・?
岩政さんはその感覚をわかり易く「プロとアマ」という言葉で例えてくれました。
プロの仕事というのは相手を納得させる正解がある仕事をしなくてはいけないのに対して、アマというのは正解のなく自分の感受性に正直に仕事をしなくてはいけない。結果としてはプロの仕事の方が洗練されたものが出来るが、アマの感覚で作ったものが心に響くという事がある。
岩政さんはこの感覚を大事に仕事をしたいとおっしゃっていました。
対談が終わり懇談会が始まると終了予定時間が一時間過ぎても小阪さんと岩政さん、お客さんとの対話は終わりませんでした。顔の見える貴重な関係性がラ・ケヤキで生まれつつある夜でした。
関係性の科学はシリーズでのイベントなのでまた次回も是非お越し下さい。まだ参加されていない方々には何のイベントだろう?チンプンカンプンな難しい話をするイベントなのかな?と、思われるかもしれませんが、まずは参加し、体験してみて下さい。一方的に学ぶだけでなく、自ら参加する事で考えを深められるトークイベントです。次回の『関係性の科学』もどうぞお楽しみに!(silent voice / 溝口善也)
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