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2012年7月29日 更新

幸せな手作りウエディング

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7月29日日曜日、とてもチャーミングな結婚式がありました。

ケイさんは春のハンドメイドマルシェでかわいいアイシングクッキーで人気だった、手作りクッキーの作り手さん。そのご縁で彼女の友人たちが企んでくれたのがラ・ケヤキでのパーティです。

彼女のブログに写真満載でリポートされています、ぜひご覧になってください。

若者たちが幸せで友達がいっぱいいて、ポジティブで、ホント良いことです。これからカップルはバックパックで世界一周の旅に出るそうです。広い世界を見て呼吸して、たくさんの幸せを、タンポポの種みたいに飛ばしてください。


ここで、お知らせですが、お酒を出したり庭で音楽をするようなパーティ形式のイベントは今回の結婚式で最後にしました。
住宅地のためにこれまでも騒音にはこれまでも注意を重ねておりましたが、今回で中止にしたほうが良いという結論に達しました。

しかし対話のワークショップやヨガ、美術の展覧会などは、これからも続けていくつもりです。パーティは渋谷のサラヴァ東京で、学習と対話は、ラ・ケヤキで。2つの会場をうまく使い分けてこれからも文化交流に努めていきたいと思います。

ケイさんのブログ

http://yaplog.jp/keicomz/archive/2251


2012年7月14日 更新

【REPORT】関係性の科学vol.5「正しい」の副産物

2012年7月14日開催

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2011年5月から1年をが経ち、第5回目を迎えたトークイベント『関係性の科学』。
今回はAuthaGraph株式会社の代表鳴川肇さんを迎え『「正しい」の副産物』というテーマでレクチャー&ナビゲーターの小阪淳さんとトークが行われました。

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今回の主題であるAuthaGraph[オーサグラフ]とは、新たな地図の図法のこと。現在一般的にみなさんの目にしているメルカトル図法は「四角形で表せるが、隅の歪みが大きく」、バックミンスター・フラーの発明したダイマキシオンマップなどは「歪みが少ないが、四角形で表せない」といった特徴があります。鳴川さんの発明したAuthaGraphは「四角形で表せて、なおかつ、歪みが少ない」という、両者の長所を併せ持った地図になっています。

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AuthaGraphは地図を何枚もつなげることも可能で、人工衛星の軌跡や大航海時代の航路も一つながりに描けます。また、昨年は東京都写真美術館で行なわれた『<映像をめぐる冒険 vol.4> 見えない世界のみつめ方』にはB.C.2750から現代までの50年毎の世界情勢を可視化した映像作品を出展し、世界の新たな知覚方法を提示しました(ちなみに、ナビゲーターの小阪さんも同展示会に出展されています)。
鳴川さんの設計した『ジオ・コスモス』の展示されている日本科学未来館では、AuthaGraphに様々な統計情報を掛けあわせてマッピングすることのできる『ジオ・パレット』といったサービスも公開されています。新しい地図を使い、新しい地球の見方を提案することが、AuthaGraphの特筆すべき点なのです。

もともと建築学科出身だった鳴川さん。要らない情報が切り取られ、純化されがちな建築写真に違和感を持ち、前後左右(パノラマ写真)に加え上下も撮れる『全方位カメラ』を学生の頃から作成していました。仕組みは至ってシンプルで、ピンホールカメラの内側に半球(ラチスドーム)形に切られた印画紙が入っており、それで前後を撮ると、全方位が内側に焼かれた球体ができるようになっています。こういった「考えながら、手を動かすこと」がAuthaGraphの発明にも繋がったのです。

発明当初は[球体→正四面体→四角形]というプロセスを踏んでいました。しかし、面積比が「正しい」とはいえ国の形は崩れており、周囲の方々からは「地図としてわかりにくい」と意見を言われ、改良を重ねていった結果、[球体→おにぎり型の立体→正四面体→四角形]と名もない立体を挟むことで、現在の地図に至ったとのことです。
そこへ、「人文系の使用法は靴の外から足を掻いているようだ」とツッコミ入れるナビゲーターの小阪さん。AuthaGraphの一般理解に必要なプロセスかもしれないが、AuthaGraphとは独裁制や無意識的な「科学的なるもの」への信望へと一石を投じたことであり、AuthaGraphは「正しければ正しいほど良い」と言います。

一般性を獲得してバランスよく広く使われるものと、一般には理解されにくいが「正しい」もの。果たしてどちらの方が良いのでしょうか?
これはどちらが優れているかという単一の尺度では語ることが出来ない難しい問題ではありますが、そちらの方向に向かってだんだんと議論は深まってゆきます。

会場からは、メルカトル図法が生んだイデオロギーとは何だったのか、質問が出ました。
その場に居合わせた『<映像をめぐる冒険 vol.4> 見えない世界のみつめ方』の企画を行った東京都写真美術館学芸員の山峰さんは、「透視図法」を引き合いに出し、世界を切り取る方法の重要性を語ってくれました。ローマ期にあった未成熟の透視図法は、中世の宗教が力を持つとともに消え、やがてルネッサンス(=人間復興)に再発見され体系化するに至ったと。宗教に塗れた世界観が科学技術の進歩によって、限りなく無色透明(のように感じるもの)に変わったのです。しかし、それは心の拠り所が宗教から科学へ乗り換えられただけとも言えるし、いまなおそのバイアスは現存してるといいます。

われわれは飛行機がなぜ飛ぶかもわからないのに、飛行機に乗って旅をする。コンピュータの中身を知らないのに、こうしてネットをサーフィンする。そんな当たり前がどこまで信用できるのか、これまでの関係性の科学の全てに共通するテーマがここでも見出されます。

鳴川さんの科学的アプローチは、手を動かし自分の身体で感じながらつくり出す科学であり、そういった「身近な科学」と上手く関係性を築いていくことが大切なのではないでしょうか?
ものの仕組みを説明しているときの鳴川さんのキラキラとした目の輝きが、なによりも印象的でした。

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対談の後は料理とお酒を飲みながらの懇親会。
美味しい料理とお酒は口を滑らかにしてくれ、対談では聞けなかったお話もいろいろとお聞き出来ました。

次回は9月の予定ですので、興味ある方はぜひいらしてください。

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