finished 2013.12.13 Fri - 12.15 Sun
原作:ウジェーヌ・イヨネスコ『授業』
上演テキスト・演出:鈴木勝秀 出演:ヨシダ朝 山岸門人 傳田うに
Eugène Ionesco:La Leçon

2013.12.13 Fri -
12.15 Sun
12/13(金)18:30 開場 19:00 開演
12/14(土)13:30 開場 14:00 開演
12/14(土)18:30 開場 19:00 開演
12/15(日)13:30 開場 14:00 開演
adv.¥ 3,500(with a drink)/ door.¥ 4,000(with a drink)
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from suzukatz.
高校生の頃(1978年)、矢野顕子のライブを見に初めて渋谷ジアンジアンへ行った。今はカフェ・ミヤマの入り口になっている、怪しげな階段を降りた先の狭い狭いロビー。そこには、今後の公演チラシがいくつか置かれていた。そして、『授業』は唐突にそこにあった。
「ジアンジアン10時劇場シリーズ」
「毎週金曜日上演 P.M.9:45開場/P.M.10:00開演/P.M.11:00終演」
「言語の悲劇、反戯曲、パロディ、解体、増殖、不条理....前衛劇の古典、イヨネスコの代表作」
「緊迫した空間に生きる老優、中村伸郎。ここに役者生命のすべてをかけて、演技の炎を静かに燃やす。パリ・ユシェット座長期公演に挑戦する話題の舞台」
『授業』のチラシには、こんな文字が踊っていた。文字は読めても、何のことだかさっぱりわからなかった。そして、耳をおさえて嫌がる生徒(中村まり子)に、背後から何やらサディスティックな雰囲気で指導する教授(中村伸郎)の写真──舞台の1シーンを切り取ったモノクロのあの写真。なんだか、すごくヤバイことが行われているに違いない、と感じた。
渋谷の公園通りは、1980年以前は、夜の十時にもなると閑散としていた。そこで毎週金曜日の夜になると、上演される芝居。それが、1972年からだから、当時でもう6年も続いていたのだ。
危険──高校生を虜にする最高の匂いだ。もちろん、僕はすっかり魅了された。かと言って、すぐに潜り込むには、「10時劇場」の敷居は高校生にはいかにも高かった。
ようやく見たのは、演劇研究会の勉強会で、自分たちで『授業』をやってみよう、ということになってからだった。本家の偵察というわけだ。
*『授業』初演の詳しいことは、以下のところに書いた。
授業1 授業2
中村伸郎さんが「教授」を勇退されて、仲谷昇さんに変わったころである。想像していたものよりは、ずっと静かな芝居で、"危険"もそれほど感じなかった。もちろん、『授業』が"危険"だと決めつけていたのは、僕の勝手な思い込みであって、どこにも、『授業』は"危険"だ、などと宣伝されてはいなかった。だが、僕は生意気にも、「よ〜し、オレたちで『授業』を危険極まりない芝居にしてやる!」と思ったのである。
それに、僕には確信もあったのだ。なぜかと言えば、僕たちがやろうとしていた『授業』の教授を演じるのは、吉田紀之だったのだから。吉田紀之、つまりヨシダ朝!吉田についても以前、書いたものがある。
吉田紀之1 吉田紀之2
もう何年も吉田は狂気をおとなしくさせているようだが、そろそろ大爆発させてもよいころだ。それにそれを受けるのは、劇団鹿殺しの山岸門人と傳田うにの二人なんだから、ちょっとやそっとじゃ壊れたりしないだろう。
だから、僕が心配なのは観客のみなさんのことである。なんせこの芝居の宣伝コピーを思い出していただきたい。
「言語の悲劇、反戯曲、パロディ、解体、増殖、不条理....前衛劇の古典、イヨネスコの代表作」
で、そこに生狂人は出てくるし、門人は女子高生だし、傳田は狂人の保護者のような存在なのだ。多分、1時間15分くらいの芝居になると思うが、大丈夫だろうか?もし、どうしても見たいとおっしゃる方に、ひとつご忠告を。歯痛は治療してからご来場されたほうがよろしいかと存じます。