2016年9月22日 更新

真夏の夢か、夢みる人の絵、2展

夏の間の展覧会は力を抜いているとことが多い、どうせツーリストばっかだし、アートのシーズンではないから。シーズンとは10月11月のこと。そんなシーズンオフの中でもみっけものの素晴らしい展覧会に出会った。

パリのメゾンルージュは稀代のアートフリークが巨万の富を相続で得たことで実現したアート好きのパラダイス。アントワン・ド・ガルベールの好みで、つまり彼の好みだけで有名、無名関係なく見せていく、見せ方もいつもセンスがいいからファンがたくさんいる。私もその一人だ。あと次回はディ・シルバのアールモデストの展覧会です。セトでやったヘタウマ展のところ、あそこの館長さんです。
ラ・メゾン・ルージュ

今回彼が見せたのはウージェン・ガブリチェンスキー。Eugen Gabritschevsky(1893-1979)

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パスツール研究所で伝染病の研究をしていた頃?

彼はパリでは猩紅熱のワクチンの研究、のちアメリカのコロンビア大では遺伝子の研究をするが27歳の時に不審な行動が始まり分裂病と診断され精神病院に入る。以前から彼は趣味で絵を描いていたが印象派的なものだったらしい。病気になってからはあらゆる世間の傾向から解放されて自分の夢の世界と科学の基礎を交えた絵画になっていく、しかし、年を重ねるうちに科学のアプローチは消えて純粋に彼の絵画を描くようになったという。現在では彼の記録は弟のジョルジュとの文通でわかる、弟は兄を一生サポートし続けたという。その弟がアールブリュットの大家、デュビュッフェに兄の絵を見せたい。と頼むが実現せず、2年後に病院の院長が院内で展覧会を開き、再三頼み込んでこの大家に絵を見てもらう。するとデュビュッフェは自分でも10点ほど買い込み、これまたアールブリュットコレクターで画廊主であるあるアルフォンス・シャーブに見せると彼は大量に買い込んで、展覧会も開くようになった。それからはフランスやローザンヌの美術館に収蔵され現在に至る。13524420_10153840427128335_3905637522616444657_n.jpg
111777633_o.jpg白い四角はライトの反射です
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レース編みのような、聖霊が描かせた絵

もう一つの展覧会はロンドンのクート(私のルビ間違っていそうですCOUTAULDが正確)で開かれていたジョージアナ・フートンのスピリチュアル絵画展 Georgiana Houghton (1814-1884)

この女性は聖霊と交信できる巫女さんのような人で、聖霊が彼女に乗り移ってこれらの絵を描かせたそうです。
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キリスト様が出てきて自分の顔を描かせたそうです。
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絵の裏には細かい説明のようなものがギッシリと

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聖霊が出てきてジョージアお描き、と言って彼女に描かせる
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これは細部です、あまりに細かい線が交差していて。。。
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これも細部です、会場には大きな虫眼鏡があってじっくり見えるようになっていた
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またもや細部、神は細部に
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多分一番最後に加えられた白い細い線がまるで天使の囁きのようで、ひたすら女性的で美しい。やはりなんてたって19世紀だよね、などとつぶやきながら、聖霊でもなんでもいいけどこの人は描いている時最高に幸せて祝福された時を過ごしていたと確信した。

この2名を比べるのはおかしいと言えるかもしれないが私に言わせれば神の園、エデンの夏の午後、木陰でスヤスヤしている間に描いたような絵を描いていると思うのだ。

潮田 バルー あつ子
アツコ・バルー
Atsuko Barouh

ラミュゼ主宰 / 通訳・翻訳家


ラミュゼ主宰。パリ第五大学人類学科卒業。フランスのインディレーベル『SARAVAH(サラヴァ)』の運営に1988年より関わる。2002年『L'amusée(ラミュゼ)』設立。滞在型イベントハウス『ラ・ケヤキ』(2003年)、ライブハウス『サラヴァ東京』(2011年)につづき、アートスペース『アツコバルー arts drinks talk』(2013年)をオープン。渋谷を拠点に文化の交流と発信に情熱を傾けています。

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