2015年5月 4日 更新

辺境ですが何か?

ポーランドにアートとの出会いを求めて5日間行って来た
IMG_2330.JPG 「アンジェイ・ワイダなど優秀な映画人を出した町ウーチ」
ベルリンの壁が落ちて25年がたった、しかし、ソビエト撤退の導火線となったワレサ議長率いる連帯がポーランドの港町、グダ二スクでソビエトに立ち向かったのが1980年だからもう35年前だ。あれがすべての引き金となってソビエトは自らの矛盾によって滅びて行ったのだ。

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「ソビエト時代の建物は天井が低い」

ポーランドは18世紀にはヨーロッパ最大の面積を誇る大国であったのにロシア、プロイセン、ドイツに何度も占領されて、だんだん小さくなってしまった上に、ナチスドイツに占領され、死の収容所を作られ、戦後はソビエトに占領され、とまったくかわいそうな事になってしまった。しかし、ソビエト撤退後のポーランドは持ち前の文化性と若い国民、(何しろ平均年齢は20代である。)でもって素晴らしい経済発展を遂げ続けている。かのワレサ議長はポーランドを第二の日本にしたい。と言ったそうだが、GDPはともかく豊かさの実感は日本より優れている。活気においては平均年齢でかなわない。給料は安いが、仕事は沢山ある。フランスやスペインから若い働き手が今やポーランドめがけてやってくるのも分かる。

私たちの国は辺境でどうしようもなく貧しく田舎でフランスやイギリスに行く事が皆の悲願だったのですよ。それが今や西ヨーロッパの人たちが移住してくるなんて、全く分けが分からないわ。と言うのはエアーBNB,でお邪魔した40代の女性の言葉。
そうなのだ、今やこのダイナミックで若い力あふれる国に若者たちが集まって来ている。町にはどこでもインターネットが通じるし、若者は英語は普通に話す。店は24時間営業しているところはざらにある。友人のギャラリー主はパリからわざわざ印刷する為にやってくる。それで午後8時に仕事を依頼して夕飯食べ終わった11時頃に取りに行き翌朝飛行機でパリへ。印刷代はパリの半分以下。24時間活動している町、ワルシャワ。


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「ものがない印象だったが大間違い、ロンドンよりも種類が豊富、キュウリ大好きな国民でキュウリだけでも何種類も、キャベツやカブも沢山種類があってびっくり。にしんの酢漬けのうまさはバッテラ並みでした」

パリでは昔は老夫婦のやっているような小さい町の食堂が沢山あって安くて美味しい料理が食べられたがユーロに変わってから消えてしまった、安いものはまずいと言う状態が今の西ヨーロッパだ。ワルシャワではどんな小さなカフェでもちゃとまだ料理を作っていてうまい、安い。

肝心のアートのレベルはとても高い。美術館は企画展は面白かったし、多分予算がない分展示に工夫がされていて、写真を角材でとめたりばかでかい釘をそのまま打ち付けてあったり、ユーモアのセンスがある。
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「これはグループ展、しかしすべてポーランド語で説明だったのでよくわからない。でも展示はとても魅力的。釘でばしばし張り付けて、それで良いのだ」

辺境の国が今やとっても注目の的になっている。まだまだ多くの西ヨーロッパの人はポーランドを辺境と思っているがまず若いときに国を出た連中がリターン組となってかっこいいセンスを持ち込んで、それからもう国を出る必要のなくなった若者たちがコンプレックなしの文化を作り出し手いる最中である。

ヨーロッパ人はこんな風にどこに行っても自由で働ける、移動の自由がヨーロッパの掲げるモットーだから、気に入った国で学び、働き、保障の優れた国で子育てをする。うらやましい限りである。一体何時になったらパン・アジアが出来上がるのだろう。自分の土地を愛しつつ、しがみつく必要はなく移動して暮らせる。また戻ったり、新天地を開拓したり。風通しの良い国になる事間違いなしだ。

辺境が何だ。と言いたい。中心の大国が身動き取れなくなっているときに、こういう小国はどんどんリフレッシュして魅力的になってくる。もうコンプレックスをもつ必要はないのだ、第一彼等はもっちゃあいない。

IMG_2262.JPG 「ウーチの町の美術館で回顧展、といってもまだ40代の作家、MagdaMoskwaの展覧会をしていた、こんなに迫力あるのに国外にはでた事がなさそうだ。」

IMG_2210.jpgワルシャワの中心では古いソビエト時代の建物が壊されてビルが造られている。しかし、彼等がセンスよいと思うのはソビエト時代のままにに残すのも面白いね、と言うセンスを持っている事だIMG_2249.jpg
「こういうのをわざと残すセンス、『ああ懐かしいコミュニストのにおいがするわ〜』と言っていた。30歳以上の人はつらい思い出とノスタルジーが混ざった何ともん言えない感じがあるのだろうか。面白い」

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「ウーチで行われていた近代性のアトラス(世界地図)」展ではヴィデオ作品でセネガルの哲学者、社会芸術家のIssa Sambのインタビュービデオに出会う。その脇にはホドルフスキーのインタビューも」
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「同じくウーチで現代美術作家のカップル展、偽18世紀のごてごての館にこういう作品がのさばっていてミスマッチがオ〜ッと。Joanna Malinowska]

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「ソビエトスタイルにポストコミュニストの上塗り。」

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「高速道路の橋桁も立派なギャラリーになる」

IMG_2204.jpg「最後にポーランド出身のこの方、ウランからラジウムを発見しました。それは人類の役に立ったのかは難しいところです」

潮田 バルー あつ子
アツコ・バルー
Atsuko Barouh

ラミュゼ主宰 / 通訳・翻訳家


ラミュゼ主宰。パリ第五大学人類学科卒業。フランスのインディレーベル『SARAVAH(サラヴァ)』の運営に1988年より関わる。2002年『L'amusée(ラミュゼ)』設立。滞在型イベントハウス『ラ・ケヤキ』(2003年)、ライブハウス『サラヴァ東京』(2011年)につづき、アートスペース『アツコバルー arts drinks talk』(2013年)をオープン。渋谷を拠点に文化の交流と発信に情熱を傾けています。

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