2015年2月 4日 更新

日本の若者にスルーされる

奇しくも、ジャーナリストの後藤さんがシリアでイスラム国家に殺されていた事が報道された昨日からアツコバルーでは写真家エリックと映画監督リム・カーワイの"GOOD LUCK HONG KONG"展が開かれている。

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世界の動き方は加速して、心ある個人やNPOが奔走しているのと同じくらいのやる気を持って国家権力は暴力的になって来ている。(イスラム国を国家と呼んでいいのかは分からないが。)香港で完全無抵抗で座り込みを続けた10代の高校生、大学生達がいかにクールに戦って、そして結果として国家に押しつぶされたかを、報道ではない、アーチストの目を通してみた時代絵として描いた優れた展覧会である。香港で起こっている事は他人事ではありません。しかも、ついこの前,12月に主催者の3人の学生が逮捕された、と言う,今の今起きた話なのです。渋谷にショピングに来る10代のカップルと同じような格好の若者達がテントを張って座り込みを4ヶ月も続けた。香港のアイデンティティーの重要な要素:"デモクラシー"を守る為に。
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↑デモに参加する香港の若者達 by ERIC

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↑香港アンブレラ革命シリーズ

では我々,日本人が今、守るべきは何だろう、たくさんあるはず。でもまあ、難しい事は考えずに、とにかく私は渋谷を歩いている同世代の人たちに見に来てほしいと願っているのだが、これが実は難しい。

この、世界中がおぞましいニュースに震えた日曜日、たまたま同じビルの中でファッションモデルの女性が開いたフリマの会があった。ビルの前には100人ほどの若い人たちが行列。まさに私が見てほしいと思う年代の人たちだが、全員フリマが目当て。展覧会は完全にスルーされる。
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↑デモ?!いや、ファッションヤングピーポー行列

可愛いモデルを見る事やショッピングが楽しいのは当然だろう。私だって若い時、原発反対運動とかやっている同世代の人たちがいるのを知っていたけど、なんか、めんどくさかった。そういう人ってファッションのセンスいまいちだったし。

でも、福島の事故で気がついたらもう既に遅かった。あのとき皆で戦っていたらこんな悲しい結果にならなかったかもしれないのに。

できたら楽しい事ばかりして過ごしたい、それは人情、そして悪い事に日本社会はそれが可能だ、と言う幻想を未だに抱かせている。よけいな事すると会社や学校で孤立するしね。それが小さい日本社会の小さい懐です。でも展覧会くらい来てほしいよね。写真面白いし。
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↑リム・カーワイ監督の写真はスライドショーで

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↑ERICの見た中国と香港

どうしたら普通の若者がギャラリーに来るようになるのだろうか?逆に言うとどうすればモデルさんの開くイベントくらいの魅力を感じてもらう事ができるのか?まじめに悩んでしまう。反対にそうならないと私のギャラリーは滅びる。と思う。お金持ちに高い絵を売りつける、と言う商売の事でなくて、社会とアート、人を結びつける事で成り立つ商売だから。


ERIC写真展『GOOD LUCK HONG KONG』は2月22日(日)まで。
2月14日(土) 17:00~19:00 ERIC×星野博美 トークショー ¥500(1drink付) 予約不要

潮田 バルー あつ子
アツコ・バルー
Atsuko Barouh

ラミュゼ主宰 / 通訳・翻訳家


ラミュゼ主宰。パリ第五大学人類学科卒業。フランスのインディレーベル『SARAVAH(サラヴァ)』の運営に1988年より関わる。2002年『L'amusée(ラミュゼ)』設立。滞在型イベントハウス『ラ・ケヤキ』(2003年)、ライブハウス『サラヴァ東京』(2011年)につづき、アートスペース『アツコバルー arts drinks talk』(2013年)をオープン。渋谷を拠点に文化の交流と発信に情熱を傾けています。

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