2014年11月23日 更新

アンブレラはまだ開かれているのか?


11月16日土曜日にサラヴァ東京で緊急報告会が開かれた。選挙ではなく中国政府から指名された役人が香港の政治をまかされる。と言う事に反発して、若者達、特に10代の人たちが中心となって、もう6ヶ月も座り込みをしている。(アンブレラ革命とメデイアは命名した)そのこと自体、異常な事なのだが、報道の方は夏前にいろいろとあったきり。一体どうなっているんだ。という我々の疑問に答えるべく香港出身で日本に住むフォトグラファー、エリックが取って来た動画とスチール写真で彼が見て聞いて来た情報を共有した。

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胡椒弾を投げつける警察に傘で身を守る若い女性

高校生はサボっているのではない。OLは仕事が終わると座り込みに

高校生達がまるでデートやショッピングにいくような気軽な服で座り込みをしている。政治的なメッセージやプラカードは見えない。絶対暴力を振るわない。でもずっとテントに泊まり続けている。学校に行かないけれど勉強しない訳ではなく、座り込みの場所で民主主義について勉強会なんか開いている。OLさんは家に帰ってシャワー浴びて出勤、変えるとまた座り込み、そのまま路上で寝る。香港に民主主義を守るため、普通の若者達が静かに座り続ける。そうできない大人たちは食料やテントを支給している。天安門の轍を踏まないように砕身の注意をしつつ,彼等はしぶとく続けている。
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道路に眠るティーンエージャーのカップル

社会との関係性をもったこれはアート活動なのかも

今、東京でいくつかの社会派アートの展覧会が開かれている。21デザインサイトの「活動のデザイン」アーツ3331の「リビングアズフォーム」森ミュージアム「リー・ミンウエイ」などである。社会の様々な現象に個人が関わる事をアート表現として発表している。社会に関わると言ってもそこには政治的イデオロギーやセクト、組合の色はなく、個人がそれぞれの感性で行動する、と言う特徴がある。NYのオキュパイウオールストリートもその一つかもしれないし、フランスで、もう6ヶ月続く座り込みは自然保護区に建設予定の空港建設に反対する人々だ。参加者は失業者、エコロジスト,学生、主婦,と様々だが、彼等も、もう徒党を組んで暴力や革命によって社会を変えようなど一昔前の考え方ではなく、単に自分の精神と行動が一致する為にやっている。皆、自分に正直になればよりよい社会が作れるかも。という個人の開花と社会の前進はリンクし得る、と信じるているところがアートなのかもしれない。そりゃあ子供のような、と一笑に付されてしまう素朴さだ。しかし老練な政治家や暴力的な革命家達が何をして来たか。1000年前よりは良くなっているに違いないが、ニンゲンの知能と文明から言えば何とも未だにお粗末な社会ではないか。
マスコミは中国様を怒らせないように香港のこの動きを黙殺しているが、これは中国なんで小さい事じゃなくて、10代の子どもたち、つまり未来が大人の尻を叩き始めた。と言う人類にとっても重要な事件だと思うのだが。


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朝6時の中心街,ビジネスマンが出勤中

潮田 バルー あつ子
アツコ・バルー
Atsuko Barouh

ラミュゼ主宰 / 通訳・翻訳家


ラミュゼ主宰。パリ第五大学人類学科卒業。フランスのインディレーベル『SARAVAH(サラヴァ)』の運営に1988年より関わる。2002年『L'amusée(ラミュゼ)』設立。滞在型イベントハウス『ラ・ケヤキ』(2003年)、ライブハウス『サラヴァ東京』(2011年)につづき、アートスペース『アツコバルー arts drinks talk』(2013年)をオープン。渋谷を拠点に文化の交流と発信に情熱を傾けています。

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