2012年1月13日 更新

1月12日 僕と核 Shing02

現在来日中のラッパーにしてジャーナリストShing02は2002年から放射能の問題について興味を持ち学び、発言し続けている。
「僕と核」という彼のブログに詳しく書いてあるが、今回はまだブログにはアップしていない、ウランについての知識をみんなにとてもわかりやすく説明してくれた。彼のスタンスはいわるる反対派の「とにかく反対」や「推進派はうそつきだ」、という単純なものではなく、どの立場の人も言っていることに一理ある。という認識からはじまるのからして面白い。

難しいのは推進派の人が言う、年間・・・シーベルトでは健康に被害は出ません。というのはたしかに今までに資料から言えば正しい、ということだ。問題はその資料は国と原子力推進委員会が作ったものであり、放射能の健康への被害の研究はごく最近になって始まったので例は少ない上に、国策と密接に関係しているためにバイアスがかかっている可能性が大きい。ということだ。ゆえに懸念する人たちは嘘だ、という。それも正しい。

そのようなことが無数に存在する中で(彼曰く、マトリューシュカのようにカラを開ければまたカラがあり、それが無数にあるんです)、ではウラニウムとはどんな原子か、という説明から始まって、重金属=ヘビーメタル。であるということ。われわれの細胞を作るどの原子にもないものだ、という。それなら排出されれば良いのに、それが体の中の細胞の原子に結びついて悪さをするから困る。詳しいことは本人の講演会やサイトにいづれアップされると思うからここには書かないが、わかっているのはこれらの原子が生き物の細胞を破壊していくという事実、それが少ないからいいではないか、というのも、ではどれくらいからが危ないか、ということも実はわからないのである。

ウランといういわば生命の敵、の正体を知ることは大切である。そこから戦いが始まると思った。

ここからは私の脱線になるが、細胞の中に生のプログラムと死のプログラムが組み込まれている、って聞いたことがあるけれど、人類が増えすぎたころに、人工的に滅びのシステムをせっせと先進国が作っている、という感じがしました。

昨晩、発言したのですが、私たちの世代は学生運動が完全に鎮圧されてしまった後に大人になったので、政府に逆らうことはすごく悪いこと、という共通認識の中に(しかもそれが都合がよくて)生きていたじゃあないですか。だから民主主義というきれいな絵を壁にかけて安心していたにすぎなかったのです。何となくいろいろ変な法律が通っているな、とか、嫌な世の中になってきたな、という感覚はあったのですが、では具体的に行動してデモをするとか、そのことについて勉強するというような投資をする気はまっくなかったのが本当です、時間がない、子育てが、仕事が、忙しい。第一そういうことしている人ってちょっとカワリモノ、もしかして共産党?みたいな意識だったのですね。

そこを私は大反省をしています。何で子供の未来を守るためにもっと時間と力を注がなかったのかって。で、気がついたら何?原発54基??いつの間にそんなにいっぱいできたのかしら、と驚いた人も多いでしょう。ええ、いつのまに我々は社会に対して疑問を投げることを忘れ、いつの間に繁栄の名において骨抜きにされたのでしょう。政府を恨む前に自分のふがいなさですね。

これは、我々が民主主義を本当に絵に描いたモチ扱いにしてきたということ。どうしたらこの民衆のウルティマ兵器である民主主義を上手に使えるのか。やり方を学ばないといけないと痛感してます、だから奇しくも、原発問題と同時期に起こったアラブの春にすごく関心があります。これは偶然じゃないんだ。と思う。

Shing02が2つには関係がある、といったのは、どういうことか、すごく興味あります。

去年の初め フランスででた、たった40ページの本が世界中に翻訳されて大ベストセラーになりました。「憤れ」Indigniez vous!という、97歳の人が書いた本です。彼はドイツ人でありながらナチスに対抗して、死刑を直前で免れ、戦後は人権宣言の編集にかかわった人なんですが、最近、人々は社会の悪に対して憤ることを忘れていないか。という問いの本です、これがアラブチュニジアでもかなり読まれていたし、アラブの春の一つの発火点でもありました。だから日本だけじゃなくて、デモクラシーの本家、革命の国でも、声を上げることをだんだんやらなくなってきたことに対する警鐘だったのですね。

何が言いたいかっていうと、日本だけじゃなくて世界で、社会的に運動するということがすたれてきた。という傾向がある、ということ。だから私たちはこれで目が覚めなきゃいけない。と思うし、実際多くの人が目を覚ました。でもこれが長続きしないといけません、それが大変。

15日にはアップリンクでも報告会あり。ただし満席らしい...

潮田 バルー あつ子
アツコ・バルー
Atsuko Barouh

ラミュゼ主宰 / 通訳・翻訳家


ラミュゼ主宰。パリ第五大学人類学科卒業。フランスのインディレーベル『SARAVAH(サラヴァ)』の運営に1988年より関わる。2002年『L'amusée(ラミュゼ)』設立。滞在型イベントハウス『ラ・ケヤキ』(2003年)、ライブハウス『サラヴァ東京』(2011年)につづき、アートスペース『アツコバルー arts drinks talk』(2013年)をオープン。渋谷を拠点に文化の交流と発信に情熱を傾けています。

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